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トリモダリティ考
投稿者: 投稿日:2016/12/25(日) 10:03:53 Home No.48 [返信]
「トリモダリティ考」という表題をつけましたが、もちろん、医学的に前立腺がんに対する「トリモダリティ」 1) といわれる治療法を考察するものではありません。ネット空間他でどのように使用されているのかを検証しようとする試みです。


1. 初めての遭遇
「トリモダリティ」という単語をはじめて目にしたのは、腺友ネット:掲示板でのことでした。はじめて「トリモダリティ」という単語をしり、まるで魔法の療法のように感じました。琵琶湖の近くの病院で行っているとの情報でどこの病院なんだろうと思ったものだ。

掲示板内検索をすると今日現在で358件の記事があります。最初の投稿は「前立腺ガン 最善医療のすすめ」というひげの父さんの2013年6月10日の記事であり、藤野氏の著作を紹介しているものです。

初投稿以来3年半なので単純に割ると年平均102件の「トリモダリティ」という単語を使った記事が投稿されていることになります。

藤野氏の著作に関しては先のひげの父さんの投稿では「ズバリ言うならこれはお勧めですね」と書かれていますが、その問題点などをブログに執拗に書き、藤野邦夫『前立腺ガン 最善医療のすすめ』について indexにまとめました。

また、掲示板にも「藤野邦夫『前立腺ガン 最善医療のすすめ』とStone氏の講演の類似」と題して投稿しました。これ以上言及しません。

2. Yahooでの検索結果
検索語は "トリモダリティ" とします。トリモダリティで検索すると検索エンジンは語を分割し、「トリ」でも「モダリティ」でもヒットするからです。

以下、検索時刻は2016年12月25日午前7時です。

2.1 「"トリモダリティ"」 で検索
1,890件ヒットし、topページの10件は以下のとおり。


1. トリモダリティ 滋賀医大へ | じじ..じぇんじぇんがん
2. トリモダリティ体験記 | じじ..じぇんじぇんがん
3. 高リスク前立腺がんの治療法別成績【1】|ブラキ・サポート
4. 信州のマサジロー | 前立腺がんトリモダリティ体験記
5. トリモダリティ治療で 高リスク前立腺がんを克服 - 滋賀医科大学 (PDF)
6. 高リスク前立腺がんでも根治が可能なトリモダリティ治療とは? | がんサポート
7. トリモダリティ考
8.前立腺癌密封小線源治療 | 滋賀医科大学 泌尿器科学講座
...(続きを読む)
私の生検
投稿者:SANZOKU 投稿日:2016/09/17(土) 11:00:27 No.47 [返信]
私の生検入院の様子

 朝9時過ぎに家を出る。病院の入院予約センターで入院受付をすると、
入院の場合は駐車場料金が2000円/日かかると言われ
急遽もう一度公共交通機関で出直して来ても良いかというお伺いを立て、
大急ぎで家に帰ることになった。そして家から駆け足でバスに乗り何とか許可時間の前に再び病院に着くことができた。

 それから病棟に向かい受付や薬の管理、体温、血圧測定などのチェックを受け、
たぶん抗生剤と思われる5時間点滴が始まった。
以前は36°を下回ることも多かった体温が最近は36.5°を超えており、何か異変があるのかもと考える。
また血圧は160-110みたいな状態であるが、
これは最近の動揺と検査を控えての緊張のなせる業と理解しておく。

 4人の相部屋であるが向かいのTKさんは前立腺癌の頬骨転移で放射線治療中。
治療で口内がただれて痛み、40種類の薬で吐き気がしてご飯が食べられないとこぼしている。
また隣のTさんは腎臓癌で8年前の血尿に始まり、
他病院での複数回の手術の後ここに転院して抗癌剤と放射線治療の継続中。
斜向かいのNさんはこれまた腎臓癌の抗癌剤治療中。
皆それぞれ苦痛を押し殺しながら、やりきれなさに堪えて、
今さらじたばたしても始まらないという達観も交えての闘病中であった。

 3時過ぎにいよいよ生検室へ案内された。そこには見慣れぬ処置用の椅子が置かれていた。
尻に穴が空いたパンツに穿きかえると一気に緊張状態が全開になった。
そして妊婦のような格好で仰向けに椅子に横たわる。
すぐに先生達がやってきて検査に取りかかった。
そこに外来で見慣れたK先生の顔を発見して少しほっとした。
検査担当医が直腸内に麻酔の入ったクリームを塗り、
これ以外に研修医と思われる人たちもクリーム塗りと触診の研修を兼ねてクリームを擦り込む。
入れ替わり立ち替わり「失礼します! 」、グリグリという具合である。
そして直腸に経腸超音波計測器を入れて画像で前立腺の様子を検討し、差し込む位置や本数を決める。
全部で10本にするようだ。外腺部も怪しいが内腺部も怪しいので、本数も増やして少し深く入れるようである。
...(続きを読む)
トリモダリティ治療終了後1年目の症状
投稿者:SANZOKU 投稿日:2016/08/03(水) 11:45:00 No.46 [返信]
 先週、治療終了後1年目の診察にS医科大に行ってきました。
ここに至って思うことは、現在日常生活に支障があるような症状は特に無いと言うことです。
従って、この治療を受けられて良かったと感じ始めているところです。そしてS医科大の先生方を始めスタッフに感謝しているところです。

 かと言って、症状が皆無というわけではないので、
治療前や治療途中の方の治療経過の目安として、私の現在の症状を報告するものです。
ここでは、私の身体で感じた症状を記載しているので、
治療との関連を断定するものではありません。悪しからずご了承ください。


症状の概要

 治療後の1~2ヶ月は、小線源に加え外部照射の急性期の症状がめまぐるしく変化するが、
その辺りで大体収まって以降の変化は極めて緩慢である。
従って、6ヶ月前と大きく変わらないのであるが、それでも微妙に改善に向かっているように感じる。
そこで6ヶ月前の下記の報告を基準にして報告する。
https://sen-you.boy.jp/bbs/paper/index.cgi?read=38


放射線治療による症状

①排尿
 炎症間や切迫感は薄らいでいるが未だ残存する。尿回数は、10回(日中)、
 1~2回(夜 間)と治療前の回数に近づいている。日常生活でほとんど支障ない。
 ユリーフは7ヶ月前に服用を止めた。
 その後2~3ヶ月経過するうちに徐々に夜間尿が2~4回に増加したが、
 ココアの飲用で再び減少している。
②排便
 2回/日程度と少し頻便気味であるが改善している。ガス排出は少なくなった。
 服用しているエビオスの効果が認められる。便意を催した後の堪え代は復活した。
 たぶんユリーフの所為だったと思う。
...(続きを読む)
ホルモン併用救済放射線治療
投稿者: 投稿日:2016/07/14(木) 09:40:37 Home No.45 [返信]
前立腺がんに対し、手術を行った後、PSA再発となった場合は、救済放射線照射を行なうか、ホルモン治療を実施するということになります。

ホルモン併用放射線治療の有用性についてのランダム化比較試験が実施されました。それはNCT00423475であり、論文、Lancet Oncol. 2016 Junで報告されています。
この臨床試験はフランスの43施設において2006年10月~2010年3月に実施され、743人が以下のようにランダム化されました。

病期は以下のとおり
pT2, pT3, pT4a (膀胱頸部浸潤のみ)

・救済放射線治療単独治療群(RT単独群) 3次元原体照射 または IMRT 66 Gy/33回 照
・救済放射線治療に短期ADT併用群(RT+ADT群) 単独群と同様の照射に加えゴセレリン(商品名 ゾラデックス)10.8 mgを放射線治療開始日および治療3か月後に投与

RT単独群 374人
RT+ADT群 369人

RT単独群と比較して、RT+ADT群で有意に5年時点でのPSA非再発率が良好でした。
RT単独群 62%
RT+ADT群 80%

参加病院の数も多く、多人数のランダム化比較試験ということで信頼性は高いかと思います。顕著に差がでて、なぜ、このような差がでたのか知りたいところとです。

詳細を知りたいと思いますが、有料であるfull text を読もうとは思いません。
愛知県がんセンターの富田氏の論文
投稿者: 投稿日:2016/05/24(火) 20:39:14 Home No.44 [返信]
以前、IMRT vs brachytherapyで愛知県がんセンターの放射線治療部の富田夏夫氏他の論文を紹介しました。今回、Google Scholarで検索し、富田氏の新しい論文、J Cancer Res Clin Oncol. 2016 May 2をみつけましたので、概要紹介します。


・2006年6月~2013年12月のT1-4N0M0 の391人の患者が対象
・照射線量中央値は78Gy
・ホルモン治療は下記のとおり
 全例に対してネオアジュバントADT療法を施行し、施行期間中央値は10か月
 アジュバントADTの期間中央値は19か月、ホルモン治療全体の施行期間中央値は27か月

・5年PSA非再発率
 低リスク 100%
 中間リスク 98.2%
 高リスク  97.7%
 超高リスク 87.9%

full text のページの Look Inside をクリックすると、2ページ分だけ読むことができます。
Table1 に患者の詳細な内訳が載っています。

高リスク  158人(40.4%)
超高リスク 112人(28.6%)

ということで、高リスクの割合が大きいといえます。


さらに
中間リスク 88人(22.5%) での結果がPSA非再発率 98.2% ということは病院は違いますが、中間リスクで同じ放射線治療装置(トモセラピー)での治療を受けた患者としては心強い感じです。
もちろん、病院による技量の差はいかんともし難いとは思いますがそのことを別にしてもIMRTでの治療成果を継続して論文発表しているのはとてもいいことだと思います。
7年PSA非再発率、8年、10年の治療結果の論文を期待するところ大です。

今回は医学的な情報とはあまり関係ない私的な感想もダラダラと書き連ねました。
与謝野馨『全身がん政治家』 高気圧酸素療法
投稿者: 投稿日:2016/05/06(金) 15:03:40 Home No.43 [返信]
最近、与謝野馨『全身がん政治家』文藝春秋を感銘深く読みました。
その内容の紹介と中で書かれていた高気圧酸素療法について書きます。

本を読もうと思ったのはブログ、がんサバイバー 与謝野馨著「全身がん政治家」を読んでを読み、4つのがん(悪性リンパ腫、直腸がん、前立腺がん、下咽頭がん)と転移を経験した与謝野さん、どのようにがんに立向ったのかを知りたいと思ったからです。

最初は前立腺がんについての話だけを読みましたが、それ以外の部分も読み、読了しました。


まずは前立腺がんをどのように治療したかについて。

前立腺がん確定時(2001年)の年齢、PSAなど

年齢:63歳
PSA :6.63
グリーソンスコア:4+3
陽性率:4/8

2001年 12月より ホルモン治療(リュープリン)開始 7か月続ける
2002年 7月より 3D-CRTによる放射線治療 (1回 2 Gyで33回照射 計 66 Gy)

2012年 PSA再発 8.4 ホルモン治療再開

10年以上たって、PSA再発したことに驚く。

国立がん研究センター中央病院で治療したということで、角美奈子医師(現在、がん研有明病院 放射線治療部 副部長)の話で印象に残ったことは次のとおり。

P.93
療後の生活の質を考えた時に、これまでの治療履歴と副作用のリスクを
考えて、泌尿器科で与謝野さんに放射線治療を勧めてもらったようです。

P.93
...(続きを読む)
藤野邦夫『前立腺ガン 最善医療のすすめ』実業之日本社を、再読、再再読し、精読した読後感想を延々とブログに15回にわたりアップしました。
なお、私の読んだのは「2013年6月4日 初版第一刷発行」です。

細かい指摘は別として、私自身に一番関心のある前立腺が動くことに関しては「前立腺が動くことに関しての外照射の精度」と題して掲示板にも投稿しました。

ひとわたり、ブログでの記載が区切りがついたところで、私にとって書き続けたことについて、どうしてそこまで一生懸命になったのか気がぬける事実をみいだしましたので、スレッド本体ではなく、「論文・詳細スレッド」に少し長くなりますが書いてみます。

それは藤野邦夫氏の著作とStone氏の講演の類似と藤野氏の臨床試験番号の記述間違いといったことです。


Stone氏の講演記録
ハイリスク症例に対する密封小線源療法の可能性 講演:Nelson N. Stone MD
2008.12月作成


なお、この講演はWebサイトに掲載されています。
ハイリスク症例に対する密封小線源療法の可能性 前立腺がんの小線源療法 日本メジフィジックス株式会社

このページは私が最初に掲示板に2014年8月25日に投稿した後、GANBA-SETA さんが2014年8月26日の投稿で「次の資料も大いに役立ちましたので、ご参考までに。」という紹介文とともにURLを書き紹介していただいたものです。
既に藤野氏の著作との類似はGANBA-SETAさんはご存じで、今頃、気づいた私が遅いのかもしれません。

A
Stone氏の講演記録

ホルモン療法 + 外照射療法
よく引用される研究で、多くの放射線腫瘍医が外照射療法と長期
ホルモン療法を併用する根拠にしているものに、RTOG 9202の研究
があります。これは高リスク前立腺癌に対して2年間のホルモン療法
と放射線療法を併用しPSA非再発率をみたもので、線量は65~70Gy
です(図8)。2年間のホルモン療法と併用しても5年目には、50%
の患者が再発しています。ここから読み取れるメッセージは、たし
...(続きを読む)
前立腺が動くことに関しての外照射の精度
投稿者: 投稿日:2016/03/24(木) 19:04:50 Home No.41 [返信]
「前立腺は結構動くので位置決めしていても外部照射では逸れる可能性が高い」
といわれています。

ネット上ではもう少し穏やかな表現もあります。
ichi さんは治療法を決めた一番の理由 | じじ..じぇんじぇんがんで以下のように書いています。


同じ照射方式でも医療機関によって照射精度が違うと思われます。
前立腺はいつも定まった位置にあるわけではなく、その動きやすい
臓器に対して、どのような方法で照射精度を保つのか、照射線量、
照射回数とも医療機関によって違いますから確かめておきたいとこ
ろです。


藤野邦夫『前立腺ガン最善医療のすすめ』実業之日本社では再三にわたり、この件に関する言及があります。


P.140
もうひとつの問題点は、前立腺が狭いスペースで、たえず動く小型の
臓器だということにある。前立腺が息をしたり、しゃべったりしても
動くだけでなく、膀胱や腸の内容物の量によっても、つねに位置を変
える。このため、からだの外側から前立腺を照射する外部照射は、正確
さという点で制約を受けざるをえない。

P.150
最後に正確な外部照射がもつ弱点を指摘しておこう。それは前立腺が
動きやすい臓器であるため、照射する範囲をしぼりこめばしぼりこむ
ほど、目標をはずすリスクが高まることである。これでは再発率が高
くならざるをえない。

P.210
...(続きを読む)
高リスク トリモダリティ療法可病院
投稿者: 投稿日:2016/02/20(土) 18:21:23 Home No.40 [返信]
TRIP試験でTRIP臨床試験の参加病院の登録数の一覧を示しました。
ここで、TRIP試験について上記投稿より再掲します。

「高リスク前立腺癌に対するトリモダリティ療法の有用性と、アジュバント
ホルモン療法の有無による治療成績を比較検討することを目的に、多施設共同
オープンラベルRCT、TRIP試験を実施」

ここで、高リスクと書かれていますが、以下のように定義されています。

TRIP試験の対象症例はD'Amicoの高リスク症例にNCCNガイドラインで定義されて
いる高リスク症例を含めたものである。

高リスクの定義は以下のとおり

下記3因子のうち1つでも満たす症例を高リスク群とする
1 前治療CAB開始前のPSA値20 ng/mL超
2 臨床病期T2cまたはT3a
3 中央病理診断のグリソンスコア8以上


D'Amico、NCCNのリスク分類については
前立腺癌診療ガイドライン 2012年版 の資料1 前立腺癌のリスク分類を参照願います。

このTRIP試験登録数と2013年の読売新聞調査の小線源の治療数+当方がネットで調べ、追記、変更した一覧とこの2013年の一覧にないものに関しては、読売新聞医療情報部 編 『病院の実力 2013総合編』より2010年の値を調べたものを一覧にしたものを表として公開します。

これはひげの父さんが藤野邦夫『前立腺ガン 最善医療のすすめ』についての2013年6月10日の投稿に以下のように書かれた「こうした技量を持つ病院」という観点での一覧ではないです。


「患者として気になることは、小線源療法をやっている施設ならどこでもこのような
「トリモダリティ」が受けられるかということですが、
それはまだ一部の医療機関に限られると思っていいでしょう。
...(続きを読む)

40

トリモダリティ治療終了後6ヶ月の症状
投稿者:SANZOKU 投稿日:2016/01/31(日) 10:50:01 No.38 [返信]
 トリモダリティの外部照射後6ヶ月の診察に行きました。この段階では2ヶ月前まで続けていたホルモン治療が未だ未だ効いているので、PSA測定は形式的なものになります。特別な事情がない限り、結果は次回診察日に知らされます。

 今回は治療後の症状について述べます。これまでの報告のまとめとして、放射線治療による症状、放射線治療によると思われる変わり種の症状、ホルモン治療による症状(終了から2ヶ月)をまとめてみました。ここに挙げる症状は治療と関係すると感じられる症状であって、関係を断定するものではありません。

<放射線治療による症状>

① 排尿
 炎症間は未だ健在なので、尿意を催すと切迫感、排尿時の刺激は少し残存する。尿回数は、10回(日中)、1~2回(夜間)と治療前の回数に近づいているので、日常生活はほとんど支障はない。ユリーフは5ヶ月手前で服用を止めた。排尿の勢いが以前に比べ精彩を欠く。
 *ユリーフの服用を止めると1週間以内に排尿や前立腺周辺の諸症状に支障が生じてくる。そこで復薬すると直ぐに元の状態に戻る。これを2~3回繰り返して2錠/日→1錠/日→中止、と言う具合に漸次止めていく。
② 排便
 相変わらず2~3回/日の頻便は続いている。またガスの排出も多い。しかし極めてゆっくりではあるが改善してきている。特に便が出たスッキリ感が治療前より良いのは何故だろう。ただし便意を催した後の堪え代が心許ないので要注意。また以前に比べると少し便が細くなった。
③ 前立腺の腫れ
 圧迫感はほとんどなくなったので腫れはないと思われるが、局部に重苦しさは感じる。以前より局部に集中している感じがする。
④ 腰痛&皮膚炎
 腰の鈍痛はあまり改善していない。重苦しい感じで時により痺れるような感じだ。皮膚の日焼けのような黒ずみは解消し、酷い痒みもすっかり良くなっていたが、最近また少し掻痒感が出ている。

<放射線治療によると思われる変わり種の症状>

① リンパ球の減少
 以前は何時も白血球数5000/ul、リンパ球比率36%程度だったものが、治療後3ヶ月では4000/ul、16%になった。自分の場合、全骨盤照射という広範囲の照射が影響しているかもしれない。
② 臀部にある植皮採取のための古傷
 採取部と正常部の境目に軽度の潰瘍ができ、徐々に治癒しつつあるが未だ完治していない。
③ 陰部先端周辺の発赤
 外部照射後3~4回、所々発赤し痛痒くなる。以前は一度もなかった症状である。
④ 肛門の内皮と外皮の境目に米粒大の出来物
 まさしく米粒のような固い出来物が突き出すように出現。照射後3ヶ月くらいでほぼ消失。
⑤ 尿の異臭
 時々妙に生臭く、臭い尿が出ることがある。時には便のような臭いにも感じられる。尿を見た感じでは特に異常はない。この症状は外部照射途中から感じ始めた。
⑥ 排便時に同時排尿が可能になった。
 これまでそのような芸当はできなかった・・・。
⑦ 自転車乗車は堪える。
...(続きを読む)
高リスクにおけるIMRTと小線源の比較
投稿者: 投稿日:2015/12/12(土) 12:59:31 Home No.37 [返信]
2014年10月22日に投稿しましたIMRT vs brachytherapyで愛知県がんセンターの富田先生の論文と東京医療センターの矢木先生の報告を比較した記事を投稿しました。その最後に次のように書きました。

また、治療実績の高リスクの割合をふまえ、両者を比較する限り、高リスクに関しては
IMRT(トモセラピー)と小線源そう変わらず、どちらかというと、IMRTが若干優位では
なかろうか。

今回、論文での比較ということで治療法別PSA非再発率の比較表 (改訂) より期間、高リスクの人数がほぼ同じである以下の二つの論文より比較してみようと思います。

A 東北大学武田先生の論文  IMRT
B 東京医療センターの矢木先生の論文  小線源


期間:2003年~2008年
高リスク 人数
A:105人
B:97人

5年PSA非再発率は以下のとおりです。
A
中間リスク 100%
高リスク 82.2%
B
低リスク  98.8%
中間リスク 94.9%
高リスク  86.5%

A 対 B で高リスクに関してその高リスクの患者における比率(%)を示します。 1)

GS8以上:64.8% 対 49.5%
・・・・Aでは高リスク(GS)の比率が高い
T3:63.8% 対 12.4%
...(続きを読む)
TRIP試験
投稿者: 投稿日:2015/12/11(金) 07:29:52 Home No.36 [返信]
2015年2月25日に高リスクに対するTri-Modality療法実施病院一覧という表題でTRIP試験に関する論文のAcknowledgementsより試験参加病院を高リスクに対して対応の可能性のある病院ということで投稿しました。


今回、3か月毎の診察に病院へ行った際、附属の図書館で泌尿器外科 28巻 8号を閲覧し、次の第30回 前立腺シンポジウムの発表に関する報告の記事をコピーしましたので、病院名他の情報の訂正、追記を行います。

表題他は以下のとおり。
小中弘之*1他 進行中の多施設共同オープンラベルランダム化比較試験 (TRIP試験)
泌尿器外科 28(8): 1437 -1440 2015
*1金沢大学大学院医学系研究科集学的治療学

TRIP試験について概要を再度説明します。

NCCNガイドラインでは以下のように書かれています。

PROS-D (1 of 2)
「高リスク群の患者では、EBRT(40~50Gy)と密封小線源治療±2~3年間の
ネオアジュバント/同時併用/アジュバントADTの併用による治療を施行して
もよい。」

MS-22
「EBRTと密封小線源治療の併用治療(場合により通常2または3年間のADTも追加
する)もまた、初回治療における選択肢の1つである。しかしながら、この状況
におけるADTの至適投与期間は依然として不明である。」

小中論文では以下のように書かれています。

「高リスク前立腺癌に対するトリモダリティ療法の有用性と、アジュバント
ホルモン療法の有無による治療成績を比較検討することを目的に、多施設共同
オープンラベルRCT、TRIP試験を実施したのでその進捗状況につき報告する。」

RCT:Randomized Controlled Trial
...(続きを読む)

36

トリモダリティ治療の総本山、外部照射
投稿者:SANZOKU 投稿日:2015/08/11(火) 12:06:05 No.32 [返信]
トリモダリティ

 トリモダリティとは3つ(トリ)の治療(モダリティ)を併用する治療である。小線源治療、外部照射、ホルモン療法を併用する。その特長は、前立腺のみならず、前立腺周囲まではみ出して治療が可能なことである。手術ではこれが容易ではない。しかも小線源による内部照射と外部照射の合わせ技で、他の放射線治療では得られない高線量を安全確実に得ることができる。その結果きわめて高確率で癌細胞を死滅させる。このことがハイリスク前立腺患者の優れた治療成績につながっている。もちろん確実な施術が行われることが前提ではある。
 *外部照射で使用するX線は硬X線と呼ばれる。また小線源治療で使用する線源が放射するX線はγ線と呼ばれる。共に人体を透過するが、前者は人体を貫通して作用するのに対し、後者は人体で急速に吸収され線源から数ミリ程度までしか作用を及ばさない。従って外部照射では貫通してくる正常細胞へのダメージを抑制するため、線量が限られてくる。小線源では線源近傍のダメージのみ抑制すればよいから比較的高線量を得やすい。現在、それぞれの治療で得られる最大線量は、外部照射(IMRT)160Gy、小線源のみ210Gy、両方併用230Gy程度になっている(BED換算)。

S医科大の外部照射治療

 6/22(月)~7/27(月)に渡り、入院にて1.8Gy×25回の外部照射治療を受けた。これは小線源治療に上乗せするものであるが、小線源治療が及ばない部分の癌を予防するのに必要な標準的線量でもある。そして私のトリモダリティ治療の総処方線量は以下である。これはマウント・サイナイのストーン先生が限局癌をコントロールするのに必要な処方線量とした、ハイリスク≧220Gy、低中リスク≧200Gyを余裕でクリアする値である。安全に照射できる範囲で、これ以上望むのは難しいらしい。同時に入院していた他の二人も、当然基準値をクリアしている。
 BED:231.3Gy (内 小線源線量はD90:139.0Gy、[右精嚢5本、前立腺43本、前立腺体積16cc])
 *BED:生物学的実行線量(異なる照射法でも比較可能な線量とするため、生物学的効果  を勘案して実効的線量に換算した量)
 *上記を外部照射と小線源に分けてBEDで表すと、それぞれ85.5Gy+145.8Gy=231.3Gyと  なる。次の眞さん紹介の計算がぴったり合致する。
  「外照射に関しては、他のサイトで調べた結果、以下の計算式でいいようです。
  「BEDの参考数値」で検算済。
   BED=nd(1+d/(α/β))
   n: 照射回数 d: 1回線量
   α/β=2」
  「D90 は前立腺体積の90%に照射されている線量とのことです。
   BED = (R/λ){1+[R/((μ+λ)(α/β))]}
   R=D90*λなので、上記の式は以下のようになります。
   BED = D90{1+[D90*λ/((μ+λ)(α/β))]} = D90+D90*D90*λ/((μ+λ)(α/β))
   ここで、次の値をいれます。
   D90 =120  λ= 0.693/60*24 (hに換算) μ= 0.693 α/β=2」

 照射装置はVARIAN 社製のNovalis TXというリニアック高エネルギーX線照射装置である。この装置はマルチコリメータ(絞り)を有し、IMRTも可能なものであるが、実際の照射は、身体の背面、右横、前面、左横の順に4方向から照射する3次元原体照射となる。照射時間はそれぞれ6s、8s、4s、7sといった具合だ。自分の場合、全骨盤照射と言って骨盤内のリンパ節転移をマージする照射である。同じトリモダリティでもリンパを照射しない場合もあり、その時は照射範囲が異なり副作用の及ぶ範囲も異なる。また小線源と外照射の照射比率に自由度が生じるので、照射回数も異なることがある。
 治療は朝一番になることが多いが、午後になることも時々あった。その場合は部屋で待機しなくてはならない。呼ばれそうな時間の前にT字帯を装着し、排尿と排便を済ませる。特にガス抜きは大切だ。その後は少し時間的余裕がないと患部の形状が安定しないらしい。もちろん治療前に位置をX線CTでチェックしているので、うまく排泄できていなくとも再度時間を置いて行うので心配は要らない。自分は一度も不合格にならなかった。治療室に呼ばれ、T字帯一丁になり、人型に横たわり、3次元3軸微動調整を入念におこない、照射を済ませても10分程度である。
 診察は毎月曜日に放射線科、また入院中に2度木曜日に泌尿器科で受ける。治療やスケジュールの説明と身体状況のチェックである。

外部照射の副作用

 何と言っても気になるのがこれであろう。これは個人差も大きいので何とも言えないが自分のケースを述べる。
① 排尿痛
...(続きを読む)
サンゾクさん、お元気そうで何よりです
投稿者:Yanbarukuina 投稿日:2015/08/11(火) 19:21:43 No.33
さすがサンゾクさん、投稿されている話しの内容が濃いのでビックリしています。
もしかして、O先生とk先生にサンゾクさんの投稿内容を監査してもらったの?僕の方は放射線治療で受けた大腸と前立腺への
ダメージもほぼ原状回復しています。今週の木曜日に放射線治療後一ヶ月検診で滋賀詣に参ります。
今回の滋賀詣では日帰りで行きます。朝の4時に家を出て、夜の10時頃の帰宅と少し強行軍となりますが、それから2日後にはタイに戻らなくてはならないので仕方がないです。
外照射、小線源治療ランダム化比較試験
投稿者: 投稿日:2015/05/30(土) 16:00:32 Home No.31 [返信]
European Society for Radiotherapy & Oncology (ESTRO)の3rd ESTRO Forum(4月27日のセッション)でのW. Morris 氏の発表の概要を紹介します。

LDR brachytherapy is superior to 78 Gy of EBRT for unfavourable risk prostate cancer: the results of a randomized trialという発表です。

Morris 氏はBritish Columbia Cancer Agency Vancouver Centre 所属であり、6施設で実施されました。

398人の患者(高リスク276人、中間リスクの患者122人)が無作為に外照射(200人)、または小線源治療(198人)に割り当てられました。
全員外照射(1回2 Gyで23回照射、計46 Gy)を受け、外照射に割り当てられた患者は追加の照射(1回 2Gy 16回照射 計32Gy)を受けました。
ホルモン治療も実施。

PSA非再発率は以下のとおりです。
7年PSA非再発率
外照射 75%
小線源 86%

図をみると小線源のほうが優位であることは明らかです。

トリモダリティ治療の本丸、小線源治療
投稿者:SANZOKU 投稿日:2015/05/27(水) 08:09:28 No.30 [返信]
 今回トリモダリティ治療の本丸、小線源治療を受けてきました。何故本丸かと言うと、この治療によって前立腺細部の処方線量を決定付けるからです。治療内容を見ていただければその意味がもう少し明確になると思います。これは小線源単独治療よりも処方線量が低いのですが、上乗せする外部照射の線量を差し引いた線量を正確に確保する必要があるので、単独より技術的に容易いということはありません。少々長いのですが、ご興味がある方はお読みください。

5/11(月) 小線源治療入院初日

 何時ものように昨日から泊まっていたK市のH宿を8時に出る。9時にS駅に着いたので迷わず歩いて病院に向かった。10時頃病院に到着。玄関脇の受付で手続きをして2D病棟に向かう。病棟はスタッフや患者さんで外来より活気が感じられた。スタッフステーションで入院手続きを済ませ、さっそく病室に向かった。病室は個室になっていてビジネスホテルのような作りになっている。入院衣は放射線を浴びるので病院貸与のものを使用する規則になっている。
 11時にはさっそく担当のO看護師さんが現れ、入院にまつわる情報を教えていただくとともに、検温や血圧測定を行う。以後退院までこれを1日3回以上行う。そしてやわら愚息を出して会陰部をバリカンでツルツルに剃ってもらう。その後は教えて貰ったローソンでT字帯とリフレ(大きなナプキン)を購入。その側にあった図書館で本を2冊借りてきた。図書は小さなものだが思った以上に蔵書があり、何かと楽しめるだろう。またその室内にPCが2台あって使うことが出来る。ただしボランティアのおばさんが居る11時から15時の間だけである。また病棟の談話室にはTVがあり、給水給湯機もあるのでペットボトルに水を確保した。ここには電子レンジやオーブントースターもある。
 室内に戻ると間もなく昼食が配膳されてきた。茄子の煮物に里芋、その他であったが、味付けが自分には合っていると感じた。そこへO先生が来られて、さっそく近くの別室で今回の治療の説明を受ける。まず今回の手術にまつわる説明である。手術中は半身麻酔で動けないが、話すと動きが伝わるので話さないように注意があった。プレプランに沿ってシード配置するが、それに加えて手術中は画像と放射線モニタ装置で一本一本修正しながらシードを挿入する。細菌を流すため、手術後3時間くらいすると水を飲んで排尿を促す。また夜寝るまで枕は使わない。これは脊髄液より軽い半身麻酔薬が脊柱を登って頭に達するのを防ぐためらしい。半身麻酔は5時間くらいすると醒める。そしてその後の日程の簡単な説明があった。
 次に副作用について、主なものは頻尿と切迫尿であって、外照射中に最も強くなる。その後3ヶ月でほぼ治まる。このため手術後α1ブロッカーという尿道を緩める薬を処方する。たまに尿閉を来す人がいる。血尿はもう少し頻度がある。また1~2年後に血尿や血便が出る虞がある。血尿はO先生、血便はK先生に相談することになるようだ。アジュバントのホルモン治療は3ヶ月~1年を予定しているが、自分の場合は短めを希望したので6ヶ月に決まった。今後のPSAの検査スケジュールは外照射後2年は3ヶ月毎、その後は6ヶ月になり、1年毎になるらしい。万一再発した場合はホルモン治療はせず、再発部位を確定した上で、その局所を放射線治療するということであった。自分が行う全骨盤照射という外照射は臍から下の転移し易い骨盤内リンパ節を網羅して叩くもので、これまで十数例の患者に行っている。同じトリモダリティでも異なる外照射の方法がある事に認識を新たにした。自分の場合は重症ということなのだろう。中間リスク以上の予後の帰趨は、ほぼBEDで決まるとのお話しであった。中間リスクでは200以上、高リスクでは220以上ということらしい。もちろん先生のところの技術で安全かつ一様にシードを配置することを前提にしている。治療後1週間は座布団に座っているような違和感があるかもしれないが、それまでに治まるらしい。
 余談になるが、この春から先生のところでは全国の医療従事者を集めて前立腺癌小線源治療学講座を開設されたようだ。まさしく先生の恩師ストーン先生が世界の医療従事者にその技術を伝授されたように、今度は先生のいっそう磨きのかかった職人技を広く伝授すべしという、熱い想いが伝わってきた。ちなみに偉大なストーン先生は既に退役され、タッグを組まれていた放射線科の先生も事情があって転出され、現在マウントサイナイには技術の正当な伝承者が居らず、誠に惜しい状況にあるようだ。従って先生にご尽力願い、この火を絶やさず、一層発展させていただくように願うばかりである。
 3時には放射線技師のYさんのところに行って、小線源治療が放射性シードを扱う治療である旨の説明を受ける。あまり例は無いが迷走線源や脱落線源などという言葉も耳にする。その場合の対処法についても教わる。また手術後は管理区域解除と患者自体の線量確認をした上で退室が許される。結局2度に分けて検査を行うらしい。
 夕刻は少し寛いで談話室のTVを観戦する。夕食はおかゆと小さな豆腐、海苔煮付けであった。その後は明日朝一番の手術を控えて絶飲食が言い渡される。夕食後30分ほどすると2リットルの下剤を飲むことになる。これは大腸内視鏡検査の前に飲むものと同じものである。自分は1時間半くらいで飲み終えたが、最後の500ccは寒気がしてきて辛いものがあった。飲み終えると同時に排便が始まり、こちらは全部で10回2時間あまりかかった。ようやく最後の便で与えられた便様表の透明に近くなった。これで心置きなく寝ることができると思うと直ぐに寝てしまった。


5/12(火) 手術日

 6時起床。洗顔間もなく血圧、体温測定。再び浣腸。昨夜あきれるほど出たのに再び激しい水様便がほとばしる。少し濁りはあるが固形物は皆無でこれで良しということになる。8時、水分と抗生剤の点滴開始。8時半、T字帯、血栓予防ソックスを装着しストレッチャーで手術室へ。軽快な音楽が流れる部屋には既に看護士2名とO先生、K先生がスタンバイしていた。
 9時、さっそく手術台の登り口付近に座り、海老のように背中を丸めて半身麻酔の注射を脊髄に注入する。これは結構痛い。思わず仰け反りそうになって先生に叱られた。しかし生検時には脂汗が出たが、こちらはそれほどではない。直ぐに足が熱くなり、痺れを感じる。そのまま15分ほど座っていると、足の感覚がなくなりピリッとも動けない。そして4人に担がれ例の足上げスタイルの手術台にセットされる。ふくらはぎを定期的に圧迫する機械が作動しているが、ほとんど感じない。麻酔は頭にも影響するようで少しぼんやりしている。
 続いて行われたカテーテル、経直腸超音波プローブ挿入は何時の間にか終了していた。その後、O先生とK先生で何やら相談して手術が始まったようだが、何時始まったのかさえ分からない。身体に伝わる振動や圧迫感のみを通じて、施術を想像するのみである。このようにほとんど何も感じないが、経直腸超音波プローブの挿入は画像を明確に撮るための非常に重要な要素であり、挿入方法にもノウハウがあるらしい。これ次第でその後の穿刺が正確に行えるか否かが決まってくる。
 続いて穿刺を行うが、これも誠に重要な要素である。穿刺すると前立腺は動いたり腫れたりするので、先に挿入した超音波プローブのリアルタイム画像を手がかりに、手先の感覚を駆使して前立腺の辺縁部ぎりぎりに穿刺してゆく。うっかりすると皮膜を突き破って迷走線源の原因となるので、先生の緊張が高まる一瞬である。穿刺が終わると、たぶんこの辺りで、例のO先生とK先生の「アクワイアー(acuire)」「はい」の小気味よい掛け声で、プローブを5mmずつ動かして3次元画像を取り込み、穿刺の状態を確認する。ちなみに穿刺はテンプレートという碁盤目状に配されたガイド穴に沿って行われる。この穴はテンプレートに直角方向のみならず、斜め方向の穴も空いていて、様々な前立腺形状に対応できるようになっている。そしてこれらの穴にはそれぞれ符号が振られていて、手術中に両先生間で何度もそれらしき言葉が飛び交う。この後患者の前立腺形状に応じて辺縁以外にも穿刺は行われる。
 これら穿刺は、事前にコンピュータにて線量シミュレーションを行い、線源を挿入した後は実際の線量を測定し、そして次の線源配置を決めるという手続きの繰り返しで慎重に進められる。前立腺全体が最低処方線量を下回ることなく、かつ尿道や直腸は所定以上の線量を越えないように行う。これらを具体的数値で書くと以下になる。前立腺全体を覆う最低処方線量は145~160Gy、105Gy~110Gy。前立腺の90%以上の部分で確保される線量は190~200Gy、135~145Gy。尿道体積の30%未満であって、その受ける最大の線量は200Gy、160Gy未満。上述の最低処方線量以上の線量を受ける直腸体積は0.5cc、0.2cc未満。それぞれ前者は小線源単独の場合で、後者はトリモダリティの場合である。患者によって前立腺や尿道、直腸の大きさや、形状、構成具合が異なるので、これら全ての条件を妥協なく満足する手術は容易ではない。
 10:30、自分の場合5本を右精嚢に、43本を前立腺に配置して全ての処置が終わった。施術の正味は1時間ほどであった。前立腺容積が16ccと小さかったので、用いた線源は11MBqと一番弱いものである。足を上げた状態で、1時間余りを過ごしたが麻酔のせいか思っていたより疲れはなかった。もちろん期待?していたような苦痛はまるでなかった。「手術が終わりました」「きれいに配置されています」との言葉に、1時間余りの沈黙を破って感謝の言葉が突いて出た。
 帰る途中レントゲンを撮り病室に帰る。ベッドに移し替えてもらった後は寒気がする。13時頃には微妙に足が動くようになり、頭もすっきりしてきた。14時から水を飲む。
 16時にはほぼ麻酔が切れて足が普通に動くようになるが、それとともに会陰が熱く感じられ、ひりひりするような痛みを感じる。18時半頃、私の手術に引き続き3名の手術を終えた先生が様子を見に来てくれた。今日の手術内容を説明してくださる。もしかしたら僕より先生の方が疲れているかもしれない。
 20時には会陰のひりひりは少し治まってきたが、カテーテルのため膀胱に少し痛みが出る。痛み止めの飲み薬で症状は緩和された。この日は終日、麻酔薬の頭への逆流を防ぐため枕なしでベッドに伏せっていたが、朝一番の手術だったので就寝時には枕が許可になる。

5/13(水) 入院3日目

 昨夜は思いのほか眠る。朝から起き上がっても良いというのでさっそく洗顔する。本日から痛み止めと抗生剤の錠剤を朝昼夕と服用開始(この後3日間)。また排尿促進のためハルナールを朝に服用することになる(この後1週間とその後はユリーフに変えて3ヶ月間飲み続ける)。立ち上がって椅子に座るとカテーテルの管に血尿が出てくる。会陰の痛みはないが、腫れを感じる。
 朝食前にK先生が来室。脱落線源の処置の説明と保管容器を手渡された。また小線源手術を受けた証明カードも渡され携帯するように注意があった。さらに大腸内視鏡検査時には前立腺裏の直腸は決してバイオプシーをしないでくださいと検査時に手渡す説明書も付けて注意があった。またO先生のお話では、痔の手術も難しくなり薬剤で対応する必要があるとのこと。だからと言って、術前に痔の手術をすると肛門が開きにくくなり直腸プローブが入らなくなると手術ができなくなる。また傷跡が治りきらぬ内に手術は不可能であろう。痔の問題を抱える人は、事前に先生と良く相談する必要があるだろう。その後次回ポストプランと外照射の手順について説明された。
 この日はカテーテルと点滴に繋がれ不快なこともあり不自由であったが、ベッドから起き上がることもできるので、図書で借りた本を読む。朝食も昼食も美味しくいただくことができた。しかしどうやら持病の頭痛が出てきたようである。
 15時にレントゲンとCTを撮る。このときだけは退室が許されるので、点滴とカテーテルを引きずりながら自分で検査室に行く。17時過ぎには点滴の針が抜かれ点滴終了。17時半ころO先生が病室に来られてカテーテル抜去。一瞬気持ち悪いが、その後は会陰の重苦しい症状がなくなり、身体にはほとんど症状らしきものが感じられなくなる。ようやく手術から解放された気分でリラックスする。この後の最初の排尿で痛みを訴える方も居られるが、自分はまったく痛みがなかった。また座っても会陰の違和感は無くなっていた。
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東京医療センター 放射線科の萬篤憲先生の論文
投稿者: 投稿日:2015/05/23(土) 20:01:48 Home No.29 [返信]
東京医療センター 放射線科の萬篤憲先生の論文、Yorozu A, et al. Permanent prostate brachytherapy with or without supplemental external beam radiotherapy as practiced in Japan: outcomes of 1300 patients. Brachytherapy. 2015 Mar-Apr;14(2):111-7を紹介します。

・2003年から2009年の小線源治療を受けた患者1313人が対象
・T1c 60%
 T2 39%
 T3  1%
・Gleason score
 <7 49%
 7  45%
 >7  6%

・7年PSA非再発率
 低リスク  98%
 中間リスク 93%
 高リスク  81%

以前、Japanese Journal of Endourology Vol. 26(2013) No. 2で矢木康人先生の治療成績と再発時の治療を紹介しました。
少し煩わしいですが、PSA非再発率等を書きます。

・2003年から2008年4月までのBTを施行し5年以上経過観察が可能であった990人が対象
 低リスク  332人(33.5%)
 中間リスク 561人(56.7%)
 高リスク  97人(9.8%)

・5年PSA非再発率
 低リスク  98.8%
 中間リスク 94.9%
 高リスク  86.5%

・9年PSA非再発率
 低リスク  98.0%
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古家先生の論文 術前にエストラサイトを服用
投稿者: 投稿日:2015/05/20(水) 11:57:28 Home No.28 [返信]
東北4施設の手術のPSA非再発率で紹介しました弘前大学の古家先生が興味深い論文を発表していますので紹介します。

それは、Koie T, et al. Neoadjuvant luteinizing-hormone-releasing hormone agonist plus low-dose estramustine phosphate improves prostate-specific antigen-free survival in high-risk prostate cancer patients: a propensity score-matched analysis. Int J Clin Oncol. 2015 Feb 15.です。

高リスク患者に対して、手術単独治療と、手術前にLHRH agonist (ゾラデックスまたはリュープリン)とestramustine (エストラサイト)による術前療法を行った場合とを比較したものです。

以下、estramustine(EMPと表記)とLHRHを併用する療法をLHRH+EMPと表記します。

・EMPは6ヶ月間、280 mg /日を服用
・LHRH+EMPは2005から2013年に弘前大学での高リスクの患者274人、手術単独は2000年から2011年の東北4施設の高リスクの患者386人(全体は1268人)が対象
・傾向スコア (propensity score)を用いて解析するために背景を合わせた手術単独、LHRH+EMPはそれぞれ、210人

・5年PSA非再発率
LHRH+EMP 90.4 %
手術単独 65.8 %

エストラサイトの成分である抗がん剤、ナイトロジェンマスタードの効果でPSA非再発率が手術単独よりよくなったのだろうか。
Bittner氏の論文 Prostate Cancer Results Study Group(PCRSG) より
投稿者: 投稿日:2015/05/17(日) 13:31:01 Home No.27 [返信]
Grimm先生らの欧米の主要な施設(Prostate Cancer Results Study Group(PCRSG))のデータにより、高リスクの前立腺がんのトリモダリティ治療の治療成績として10年PSA非再発率が90%ということがいわれます。(参照1参照2)

PCRSGのデータはPCRSGのデータで書きましたようにサイト論文のデータがあります。論文は2000年から2010までの18,000以上の論文が対象であり、サイトは2000年から2012年までの25,000以上の論文を調べた結果です。

サイトには元となる論文ははっきりしないので、論文をみてみました。

なお、Table 3.をみると、高リスクの場合、EBRT + seeds + ADT の治療の論文の個数は6であり、Seeds + EBRT は15 ということです。

Figure 3で、10年PSA非再発率が90%以上と思われるREFERENCESの番号1861及び11のabstractを読んでみました。11、18に関しては、リスク分類毎のPSA非再発率はabstractに記載されていないので、記載されている61、Bittner N, et al. Whole-pelvis radiotherapy in combination with interstitial brachytherapy: does coverage of the pelvic lymph nodes improve treatment outcome in high-risk prostate cancer? Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2010 Mar 15;76(4):1078-84. の概要を紹介します。

筆頭著者はNathan Bittner氏であり、Tacoma/Valley Radiation Oncology Centersに所属しています。

・1995年5月から2005年10月までの高リスク前立腺がん患者(グリーソンスコア8以上及び/またはPSA20以上と定義)186人が対象

・小線源治療と外相照射が併用され、外照射は全骨盤(WP)照射と ミニ骨盤 (MP)照射を行い、比較

・10年PSA非再発率
WP:91.7%
MP:84.4%

ホルモン治療(ADT)を実施した場合
WP:93.6%
MP:90.1%

ADT 無しの場合
WP:82.4%
MP:75.0%

10年PSA非再発率が90%を越えるのは条件があり、また、高リスクといってもT3は対象外です。

T3を対象にしなかったというのはAmerican Brachytherapy Society (ABS) ガイドラインで引用したように、1999年制定のガイドライン(改訂は2012年)に以下のように書かれていることが関係しているのだろうか。
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京都大学、溝脇尚志先生の2012年の論文、Interim Outcomes of a High-dose Whole Pelvic IMRT for Very High-risk Group of Patients With Locally Advanced Prostate Cancerを紹介します。

対象:2006年~2009年の46人
   T3-4N0M0 (内訳 T3a: 23, T3b: 20, T4: 3)
治療法:全骨盤照射、精嚢への照射
    全員 外照射の前に実施されるホルモン療法有
       外照射後のホルモン療法無し

    PSAが4 ng/mL を超えるとサルベージホルモン療法を開始

42か月PSA非再発率
全体   78% (95%信頼区間 = 65-91%)
T3aだけ 91% (95%信頼区間 = 79-100%)
T3b/T4  64% (95%信頼区間 = 42-87%)

アジュバンド療法を実施しなくても、高リスクに対していい結果(特にT3aに対して)であったので、京都大学病院においては現在も高リスクに対して放射線治療後のホルモン療法は実施していないのでしょうか。

患者の時期が溝脇先生より少し前の京都大学の池田格先生の2013年の論文、Long-term outcomes of dynamic conformal arc irradiation combined with neoadjuvant hormonal therapy in Japanese patients with T1c-T2N0M0 prostate cancer: case series studyの概要は以下のとおりです。

対象:2003~2007年の150人
   T1c-T2N0M0

5年PSA非再発率
83.3% (95%信頼区間 = 77.1-89.6%)

Figure 2. によるリスク毎の5年PSA非再発率は次のとおり
・低リスク  96.2%
・中間リスク 84.2%
・高リスク  71.1%

小線源治療で高リスクで放射線療法後のホルモン療法、アジュバンド療法を実施しなかった事例の論文として慶應義塾大学病院の大橋先生の小線源治療の論文、Combined brachytherapy and external beam radiotherapy without adjuvant androgen deprivation therapy for high-risk prostate cancerがあります。
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NCCNガイドライン「原則」の紹介
投稿者: 投稿日:2015/05/09(土) 07:30:34 Home No.25 [返信]
日米欧ガイドライン比較で高リスクに関して、ガイドラインを引用しました。
それは Discussion 考察 からの引用でした。今回、PRINCIPLES 原則 より引用、紹介します。(多分、こちらのほうが原則ということなので狭い意味のガイドラインはこちらをさすと思われます)

英語、次に日本語訳をのせます。

PROS-D (1 of 2)

PRINCIPLES OF RADIATION THERAPY
Primary External Beam Radiation Therapy (EBRT)
・Patients with high-risk cancers are candidates for pelvic lymph node irradiation and the addition of neoadjuvant/concomitant/adjuvant ADT for a total of 2 to 3 y (category 1).

Primary/Salvage Brachytherapy
Patients with high-risk cancers may be treated with a combination of EBRT (40-50 Gy) and brachytherapy +- neoadjuvant/concomitant/adjuvant ADT.

放射線療法の原則
初回治療としての外照射療法(EBRT)
・高リスク群では骨盤リンパ節照射と合計2~3年間のネオアジュバント同時併用/アジュバントADTの適応がある(カテゴリー1)。

初回/救済治療としての密封小線源治療
高リスク群の患者では、EBRT(40~50Gy)と密封小線源治療+-2~3年間のネオアジュバント同時併用/アジュバントADTの併用による治療を施行してもよい。



ちなみに私が受けた臨床試験、1回2.5 Gy照射のIMRT/IGRT併用寡分割照射法に関しては以下のように書かれています。

・Moderately hypofractionated image-guided IMRT regimens (2.4 to 4 Gy per fraction over 4-6 weeks) have been tested in randomized trials reporting similar efficacy and toxicity to conventionally fractionated IMRT.They can be considered as an alternative to conventionally fractionated regimens when clinically indicated.

・中程度に分割数を減らした画像誘導IMRT(4~6週間で1回線量2.4~4Gy)がランダム化試験で検証され、有効性と毒性が従来の分割法によるIMRTと同程度であることが報告されている。臨床的に適応がある場合は、これらを従来の分割照射の代替法として考慮することができる。


寡分割照射法と高リスクのトリモダリティ、NCCNガイドラインでの扱いの違い(お勧めの度合い)、寡分割照射法の can と トリモダリティ の may のニュアンスはどういう風に違うか、よく分かりません。
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