千葉大学の今本敬氏の講演、ロボット手術支援システム「ダヴィンチ」による前立腺全摘除術で東京医科大学の橋本剛を筆頭筆者とする論文、Int J Urol. 2015 Feb;22(2):188-93.、full text が紹介されていたので、読み、サイトに橋本剛氏の論文と題して書きました。
論文の表題の和訳は今本氏の講演でのものをかりると以下のとおりです。
・ロボット支援根治的前立腺摘除後の生化学的再発の予測:日本人患者784例の解析
2006年に日本で初めてダヴィンチを使った前立腺がんロボット手術を行った東京医科大の2006年8月から2013年8月の784人が対象の論文です。(80人がPSA再発)
PSA再発と手術後の所見との関係をリスク階層化モデルとして3群(低リスク、中間リスク、高リスク)に分けて提示しています。その因子は病理病期等です。
詳細はfull textの Table 3. に示されています。
神経周囲浸潤、リンパ管浸潤
神経周囲浸潤(pn1:神経周囲浸潤を認める)及びリンパ管浸潤(ly1:リンパ管浸潤を認める)はPSA再発に関連していたと書かれていますが、モデルでの因子としては選ばれていませんので、そう大きい影響はないかと思われます。
なお、病理検査の浸潤進展度の表現に関しては、前立腺癌取扱い規約 第4版 ...浸潤進展度の表現にまとめました。
PSA非再発率
5年PSA非再発率は、低リスク群で89.4%、中リスク群で65.6%、高リスク群で30.3%とのことでした。
ここで、しんちさんの2017年 1月29日の投稿より各因子の値を示します。ただし、前立腺容積は分かりませんので、そう大きくなく、20㏄と仮定します。
・ PSA density:0.36 (7.21/20) 0.4未満
・病理学的グリーソンスコア これも手術後の値は書いていませんが、ダウングレードがなかったとして、 8
・断端陰性
・病理学的Tステージ pT2c
これをTable 3.で確認すると低リスクとなります。
東京医科大の結果では5年PSA非再発率は89.4%であり、Figure 2. のPSA非再発の図をみると月数がたつと再発はしています。「再発は考えられない」ということではなく、再発となる確率は低いと思われます。
もちろん、東京医科大における一病院での解析であり、限度があります。そうして東京医科大は「日本におけるロボット手術の大規模なセンター」ですので、他病院の成績を代表するものといえないかもしれません。
しんちさん
...(続きを読む)
論文の表題の和訳は今本氏の講演でのものをかりると以下のとおりです。
・ロボット支援根治的前立腺摘除後の生化学的再発の予測:日本人患者784例の解析
2006年に日本で初めてダヴィンチを使った前立腺がんロボット手術を行った東京医科大の2006年8月から2013年8月の784人が対象の論文です。(80人がPSA再発)
PSA再発と手術後の所見との関係をリスク階層化モデルとして3群(低リスク、中間リスク、高リスク)に分けて提示しています。その因子は病理病期等です。
詳細はfull textの Table 3. に示されています。
神経周囲浸潤、リンパ管浸潤
神経周囲浸潤(pn1:神経周囲浸潤を認める)及びリンパ管浸潤(ly1:リンパ管浸潤を認める)はPSA再発に関連していたと書かれていますが、モデルでの因子としては選ばれていませんので、そう大きい影響はないかと思われます。
なお、病理検査の浸潤進展度の表現に関しては、前立腺癌取扱い規約 第4版 ...浸潤進展度の表現にまとめました。
PSA非再発率
5年PSA非再発率は、低リスク群で89.4%、中リスク群で65.6%、高リスク群で30.3%とのことでした。
ここで、しんちさんの2017年 1月29日の投稿より各因子の値を示します。ただし、前立腺容積は分かりませんので、そう大きくなく、20㏄と仮定します。
・ PSA density:0.36 (7.21/20) 0.4未満
・病理学的グリーソンスコア これも手術後の値は書いていませんが、ダウングレードがなかったとして、 8
・断端陰性
・病理学的Tステージ pT2c
これをTable 3.で確認すると低リスクとなります。
東京医科大の結果では5年PSA非再発率は89.4%であり、Figure 2. のPSA非再発の図をみると月数がたつと再発はしています。「再発は考えられない」ということではなく、再発となる確率は低いと思われます。
もちろん、東京医科大における一病院での解析であり、限度があります。そうして東京医科大は「日本におけるロボット手術の大規模なセンター」ですので、他病院の成績を代表するものといえないかもしれません。
しんちさん
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