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不妊治療の顛末
投稿者:SANZOKU 投稿日:2015/02/23(月) 22:13:24 No.5512 [返信]
 この歳になって今更と思われる方も多いと思う。しかし子孫の居ない自分にとって、この病と不妊の問題はあまりにも唐突な出来事であった。これまでは然るべき能力はここに健在と大様に構えていたのである。

 それがいきなりの病気発覚。しかも骨転移ありの末期癌。出る言葉も無かった。その時自分の頭には男としてあるべき能力の事は微塵もなかった。T大学病院の先生も焦っていたのだろう。とにもかくにも大急ぎで、ホルモン療法を開始したのだ。だからこれも運命のような気がする。

 だが日が経過し冷静さを取り戻すに連れ、あいつは何処に行ったのだ?と思うようになった。自分はあちらには淡泊でそれほど未練はないが、この能力を失うことは実に悲しく、寂しくもあった。幸い自分の治療経過には半年近くのホルモン休薬期間があったので、いろいろ試してみることにした。その顛末に興味がある方は参考になさってください。

 幸いにも最初に受診したT大学付属病院は不妊治療にも対応しており、先ずは主治医に相談してみた。いづれにしてもホルモン治療を実施している以上、テストステロンの回復を待つしかないだろうという判断でTSの値をモニタリングすることになった。しかしその回復は遅々として進まず休薬後5ヶ月にて1.07ng/mlと正常値下限の半分をようやく超えるところである。正常値は1.92~8.84 ng/mlである。しかし復薬が1ヶ月後に迫っているので後がない。

 そこで精液の採取を行って精子の状態を調べることになった。採取方法は1回放出後2~3日したところで採取する。精液には最良の賞味期限があり、それが2~3日ということらしい。採取後2~3時間以内であれば検査ができるので家から持参することも可能だ。ところが困ったことにこの時期は、未だ朝礼はなく、その気もない。だが精神一到その気になれば恐ろしいものである。何とか這々の体で0.1mlほど採取して持参した。結果は1300万個/ml。なかなかやるじゃないかと思ったのも束の間、5000万~1億個/mlが正常値ですとのお告げが・・・。しかも動きがないと・・・。冷凍保存ができる病院を紹介しますから、そちらでもう一度相談してみてくださいという事になった。いや自分の希望で紹介して貰ったのだ。

 数日後その病院に出向いた。待合室には若い夫婦と覚しき患者が何組も来ている。結構不妊で悩む人が多いのだと思う。診察を受けた結果、再度精液の検査をすることになった。今度は家から持参ではなくメンズルームとやらで採取するらしい。まもなくビジネスホテルの一室かのような小部屋に案内された。何やら緊張でさっぱりである。焦れば焦るほど採取はかなわない。いささか後悔の念に苛まれた。だがここに来て引き下がるわけにはいかないのである。部屋内を観察するとTVモニターが設置され、そのキャビネット内にそれらしきDVDを発見。もっと後悔の念に苛まれた。しかしこれしかないと決心した後の執念は凄まじかった。這々の体でまた0.2mlくらい採取することができた。

 小一時間は格闘していただろうか。再度診察室に呼ばれたのは午前の部の最終患者としてであった。結果は360万個/mlと前回より減っている。しかも今回は精子を寄せる操作をして、人の目で確かめたそうだが、精子の動きは確認されなかったということだ。つまり精子は存在するが、死んでいるということらしい。

 ちなみに保存に必要な精液には適量というものがあるらしいが、生きた精子があれば微量であっても保存できるし、それを使って受精もできるということだった。ただし、液量が確保できれば人工授精できるが、確保できなければ顕微授精になるらしい。精子保存は1年あたり1~2万円で毎年更新する。費用的には授精の際の方がかかるようだ。そのようなことをした人の話から想像すると1回あたり100万円くらいかかるかもしれない。これはあまり正確な話ではないので興味がある人は正確なところを調べてもらいたい。自分の場合は保存の手前で挫折してしまったのである。

 この病の治療は何をやっても妊孕性が問題になる。ホルモン治療中は上述の通りであるが、手術は通常前立腺と精嚢を摘出するので精液が出なくなる。小線源の場合は精液が出なくなる。外照射の場合は精巣の生殖機能もなくなる。高年齢の人の病であるから、それが問題になることが少ない事情は分かるが、あまり話題に上ることもない。私の経験を踏み台にしていただければ光栄です。
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