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「前立腺癌」の専門医から
投稿者:前立腺癌専門医 投稿日:2015/05/31(日) 12:49:39 No.5911 [返信]
ひげの父さん
ご丁寧なお返事ありがとうございます。
まずひとこと、このような患者さんの会を作っていただき本当にありがとうございます。
私自身、患者さんが受けた治療などの経験を共有できるような会があって、本当にすばらしいことだと感じています。
とこらが最近、ちょっとずつ気になることが出てきました。
おっしゃるとおり、ひげの父さんのお気持ちや、その他の患者さんのお気持ちは本当によくわかります。
何百人もの早期の前立腺癌から末期の前立腺癌の患者さんを25年以上診察してきて患者さんの気持ちは少しは理解しているつもりです。私自身の父親も偶然15年前に前立腺癌となり、私が治療したからです。現在、私としては末期になった患者さんから「最後に先生に診てもらってありがとう」といわれるのを何より心のよりどころにしております。
25年前は前立腺癌を中心に臨床や研究をしている泌尿器科医はごく少数でした。今はPSAという良いマーカーもあり、また食生活の欧米化などにより、前立腺癌が劇的に増加し、また治療法も他の泌尿器科疾患と異なり、劇的に変化しています。おそらく若い泌尿器科の先生たちの中にはこれらの治療方の変遷についていけない方もおられると思います。
手術や放射線治療といった積極的な治療もそれぞれ一長一短があり、患者さんの気持ちも本当に様々で、どの治療も必ず必要なものです。ですから患者さんの気持ちが100%反映できるような治療法を考えるのは忙しい日常診療中に考えるのは大変です。しかし、その中にあっても、私は毎回患者さんが受診時に納得できるような説明をいたしています。特にセカンドオピニオン外来のときはお金のことは度外視して、十分に説明しています。
ところで、このサイトの過去から最近までを眺めていると、ちょっと行き過ぎた発言が目につくようになったと考えざるをえません。きっと患者さんが体験された治療法や、その治療味わったつらいことを他の人にわかってもらい他の患者さんを勇気づけるつもりで書いているのだと思います。その内容で勇気づけられる患者さんも多くいるとは思いますが、中には、それでおじけづく患者さんもいるのです。私の患者さんも似たようなことで、治療をいやがる方もおられました。また民間療法についてはかかないようにと前置きで書かれていますが、専門医の立場から見れば民間療法に近い内容も含まれています。もちろん一般の人が民間療法か科学的な根拠に基づいたものかを判断するのは難しいかもしれません。ただ、例えば「海外で新しい治療法が報告された」ということをサイトに掲載すれば、わらにでもすがりたいような患者さんがそれを目にすれば、その治療を行ってくれる病院はないのかと尋ねてくることもありえるのです。このことに関して泌尿器科医はどう説明したらよろしいでしょうか。泌尿器科医がまだ知らないことでも
患者さんが新しい治療について質問して、治療はできないのかと頼んでくるのです。最近はbipolar androgen therapy(双極性アンドロゲン療法)といった言葉がサイトに出ているようですが、この言葉を知らない泌尿器科医の方が多いと思います。少なくとも私は理解しており、その治療の元となるPNASの大昔の論文もよく知っています。ところが、このbipolar当言葉を使った著者がメカニズムに関する知識を十分に持ち合わせていないことも私自身が昨年確認済みです。つまり患者さんの立場からすると先進的な治療と思うかもしれませんが、私から見ればまだ民間療法レベルです。一般的な泌尿器科医すら理解はできない可能性があります。もちろんその判断を患者さんがするのは難しいとは思います。完全な民間療法ではなく、臨床研究だからと言って患者さんだったら何を書いても良いというものではないと思います。「こういうおもしろい臨床研究があったから掲載する」というのはインターネットのサイトだからといっても無責任だと思うのです。掲載した結果、臨床試験が勝手にサイトの中で一人歩きする可能性もあります。やはりそれを理解してくれる専門医に相談してからその研究の良い点、悪い点を聞いた上で、掲載すべきだと思います。将来どのようになるのかわからない臨床研究について不用意にサイトに掲載すると、その治療について患者さんが泌尿器科医に相談したときに結果的にがっかりすることもあり得ます。
もちろんこのサイトは多くの患者さんを勇気づけてくれることを書いてくれているとは思いますが、逆に不安を与えてしまうこともあるということを理解していただきたいのです。
どなたかが私の言ったことを「上から目線の言葉」ということを言っておられましたが、そう感じられたなら申し訳なく思います。ただ、私は何百人もの前立腺癌や他の泌尿器科疾患の患者さんを診てきて、インターネットのサイトの意見を鵜呑みにして結果的に治療が遠回りになったとか、不安になってしまったという患者さんも何人も見てきました。また「この治療によりこれだけ生存率がいいですよ」といった内容のものでも、患者さんによっては逆にとらえて、「でも何%はダメなんでしょうね」と否定的なとらえ方をする患者さんもいるのです。私たちは直接患者さんの顔の表情を見ながら診察して、患者さんが過剰な心配をしないように気を配りながら説明しているつもりです。ところがインターネットというものは相手の表情を見ることができません。サイトでの言葉がダイレクトに反映されます。弱気の患者さんはネガティブの考えることもあります。残念ながら今のこのサイトはすべての患者さんにプラスにはなっていないと思います。
私自身、まだまだ患者さんのためにやらなければならないことがたくさんあります。名前を名乗るほどのものではありません。
しかし、今後この腺友の会が「すべて」の前立腺癌患者さんにとってプラスになることを祈っております。
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