近年、核医学分野で大変注目されている前立腺がんの治療法があります。
PSMAを標的する小分子(リガンド)に、ルテチウム(117Lu:β線)あるいはアクチニウム(225Ac:α線)をくっつけ、
多発転移を有する前立腺がん患者(薬物療法の治療歴を問わず)に注射すれば、
多くの患者のPSA数値が大幅に改善されるというものです。
177Lu-PSMA-617 の第Ⅱ相臨床試験の結果によると、
患者50人中、32人でPSA値が50%以上低下し、その内22人では80%以上減少しました。
添付の画像は、177Lu-PSMA617 theranostics を受けた前立腺転移がん患者8名の、治療前、治療後のPSMA-PET画像を比較したもので、
核医学分子イメージング学会において、2018年度画像大賞(SNMMI Image of the Year)を取っています。
ホルモン療法薬や抗がん剤ではありえないほど驚異的な効果が示されています。
去勢抵抗性となり薬物療法の選択肢も無くなりつつある多発転移の患者であっても、
転移の影がほとんど消えるような症例もあるようですが、現段階ではまだ過剰な期待は慎むべきかと。
生存期間(OS)をどれぐらい延ばせるかは、まだ明らかになっておりません。
副作用としてドライアイや唾液が出にくくなる症状があるようですが、これは、PSMAは前立腺がん細胞だけでなく、
唾液腺や涙腺にも少量含まれているからです。
ただ、これによるQOLの低下は、まだ何とか工夫で乗り切れる程度のものであり、
予後の見通しが立たないような患者さんにとっては、
PSA値の低下と全身状態の改善のほうが、はるかに重要な問題だと思われます。
ただ、全ての前立腺がん細胞にPSMAが発現しているとは限らないのですが、
標識核種(アイソトープ)を、18F、68GなどPET(陽電子断層撮像法)用のものに置き換えれば、
治療前にPSMAを発現している前立腺がん細胞をかなり高精度で捉えることができます。
つまりPSMA-PETを用いれば、事前にこの治療に適しているかどうかが分かるわけです。
Therapy(治療)と Diagnosis(診断)が表裏一体となったこのような形の治療法を、核医学分野では
セラノスティクス(Theranostics)と称しています。
海外では、早ければ来年にもこの治療法が認可される可能性があるのですが、
日本ではまだ臨床試験も始まっておりません。
このまま手をこまねいて見ていては、日本での承認が大幅に遅れることが懸念されます。
腺友倶楽部としては、今後、専門医の団体や厚労省にも、
...(続きを読む)
PSMAを標的する小分子(リガンド)に、ルテチウム(117Lu:β線)あるいはアクチニウム(225Ac:α線)をくっつけ、
多発転移を有する前立腺がん患者(薬物療法の治療歴を問わず)に注射すれば、
多くの患者のPSA数値が大幅に改善されるというものです。
177Lu-PSMA-617 の第Ⅱ相臨床試験の結果によると、
患者50人中、32人でPSA値が50%以上低下し、その内22人では80%以上減少しました。
添付の画像は、177Lu-PSMA617 theranostics を受けた前立腺転移がん患者8名の、治療前、治療後のPSMA-PET画像を比較したもので、
核医学分子イメージング学会において、2018年度画像大賞(SNMMI Image of the Year)を取っています。
ホルモン療法薬や抗がん剤ではありえないほど驚異的な効果が示されています。
去勢抵抗性となり薬物療法の選択肢も無くなりつつある多発転移の患者であっても、
転移の影がほとんど消えるような症例もあるようですが、現段階ではまだ過剰な期待は慎むべきかと。
生存期間(OS)をどれぐらい延ばせるかは、まだ明らかになっておりません。
副作用としてドライアイや唾液が出にくくなる症状があるようですが、これは、PSMAは前立腺がん細胞だけでなく、
唾液腺や涙腺にも少量含まれているからです。
ただ、これによるQOLの低下は、まだ何とか工夫で乗り切れる程度のものであり、
予後の見通しが立たないような患者さんにとっては、
PSA値の低下と全身状態の改善のほうが、はるかに重要な問題だと思われます。
ただ、全ての前立腺がん細胞にPSMAが発現しているとは限らないのですが、
標識核種(アイソトープ)を、18F、68GなどPET(陽電子断層撮像法)用のものに置き換えれば、
治療前にPSMAを発現している前立腺がん細胞をかなり高精度で捉えることができます。
つまりPSMA-PETを用いれば、事前にこの治療に適しているかどうかが分かるわけです。
Therapy(治療)と Diagnosis(診断)が表裏一体となったこのような形の治療法を、核医学分野では
セラノスティクス(Theranostics)と称しています。
海外では、早ければ来年にもこの治療法が認可される可能性があるのですが、
日本ではまだ臨床試験も始まっておりません。
このまま手をこまねいて見ていては、日本での承認が大幅に遅れることが懸念されます。
腺友倶楽部としては、今後、専門医の団体や厚労省にも、
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