つづいて、同じ日本の重粒子線治療施設からの高リスク群に対する治療成績の論文です。 Cancer Sci.2017 Dec;108(12)2422-2429 著者は同じく千葉放医研の方のようです。 <対象> 2000年~2013年に行われた臨床治験phaseⅡに参加した患者。2000年から2005年は66Gy相当を20分割、2005年から2007年は63Gy相当を20分割、2007年から2013年は57.6Gy相当を16分割。T1-T3N0M0の患者1247例中、T3a/bまたはGS8以上またはPSA20以上の高リスク患者でホルモン療法(ADT)を12か月以上行った608例を対象とした。 Follow up期間の中央値は88.4か月。 <結果> 1)follow up終了までの生化学的再発は97例(15%)、前立腺癌による死亡(PCSM)は19例(3.1%) 2)前立腺癌死亡(PCSM)に統計的に有意な関連が見られた要因は ①治療前T3b ②GS9-10 ③PPC(生検時の陽性coreのパーセント)75%以上 一方、重粒子線治療後のホルモン治療の内容と期間とは相関がなかった。 3)上記の3つの予後不良因子の保有数別に4つのグループに別け(因子3つ群、2つ群、1つ群、0群の4つという意味です)、転帰を検討したところ、 5年/10年 PCSMはそれぞれ 18.8%/27.1%, 4.1%/11.6%, 0.9%/5.7%, 0.3%/0.3% であり統計的に有意な差が見られた。(Fig.3) 4)尿路、直腸障害について(Table3) ①直腸障害: G2が5年/10年でそれぞれ累積1.7% 内容はすべて出血、follow-up終了時症候が継続していたのは2例(0.3%) ②排尿障害: G2以上が5年/10年でそれぞれ6.2%、11.7% 止血処置を要する血尿が44例と最多。このうちfollow-up終了時症候が持続していたのは20例(3%) ③下血、血尿と治療前抗凝固剤、抗血小板剤の服用とは有意な関連あり。 <コメント> 1)上述の3つの予後不良因子を持つ症例では化学療法を含めたsystemicな治療法の再検討が必要かも知れない 2)逆に予後不良因子を持たない症例ではADTの期間の短縮は可能かも知れない 3)直腸障害に関してはIMRTより成績がいいとのこと。 4)排尿障害が比較的高頻度に見られたが、pencil-beam scanning (現行の重粒子線照射はこの方法が取られていると理解しています)により改善が期待できるかも知れない。