64歳、健康、T1a/N0/M0, PSA 7, GS 4+4=8 治療法検討中です。 重粒子線に傾いていますが、1)遅発性の放射線障害、特に直腸障害が不安 2)重粒子線はhigh riskの場合、長期にホルモン治療を併用することが多い の2点が気になっており、 自分を納得させる意味でPubMedでfull textが得られた文献を紹介します。 Five-year quality of life assessment after carbon ion radiotheraphy for prostate cancer (前立腺癌に対する重粒子線治療後5年間におけるQOLの検討) J Radiat Res. 2017:58(2) 260-266 日本の重粒子線施設で行われた前立腺癌に対する治験症例を対象として、その治療後のQOLについて検討したもの。 著者はKatsuya Maruyama氏、千葉放医研所属と思われます。 <対象>は2000年~2007年に日本の重粒子線施設で行われたphase Ⅱ臨床治験に参加した患者さんです。生検で病理診断が確定し、限局性stage T1~T3, リンパ節、遠隔転移のない症例、T1/T2aN0M0かつPSA20以下かつGCS6以下を低リスク、T3またはPSA20以上またはGS8以上のいずれかを満たせば高リスク、これ以外を中間リスクとしています。 <重粒子線治療>は63.0または66Gy相当の線量を20分割、週4日照射。 <ホルモン療法(ADT)>は、中間リスク、高リスク患者に対して施行。中間リスク群には6か月、高リスク群には24か月以上施行。 <QOL調査>はアンケート形式で実施。治療前、治療直後、12か月後、36か月後、60か月後に以下の如き様式で実施。 1)FACT-G(functional assessment for cancer therapy-general, がん治療一般に伴う機能評価) 4領域、27の質問があり、4領域とは、体調に関するもの(PWB)、身体機能に関するもの(FWB)、社会的・家族環境に関するもの(SFWB)、感情面に関するもの(EWB)の4領域とのことです。 2)PCS(prostate cancer subscale:前立腺癌治療に関連する下位評価) 前立腺癌患者特有のQOLに関する12の質問 3)FACT-P(functional assessment for cancer therapy-prostate) FACT-G+PCSのスコア 4)TRI(trial outcome index) FACT-Gのうちの、PWBとFWB、およびPCSの点数を合計したもの <結果> 1)417例が治験に参加。 患者群の特性はtable Ⅰ参照 年齢の平均は69歳(47-9 *92歳でも放射線治療を受ける人がいるんですね!! 2)アンケート回収は、治験参加417人中、60か月後で365人ですから、かなりいい回収率です。TableⅡ参照 3)粒子線治療前と比較して、治療直後はPWB,PCA,TOIスコアは有意に低下、しかしその後徐々に回復し、60か月後には治療前に戻る。 4)60か月後では、SFWB,FACT-G, FACT-Pスコアは治療前より低下、一方EWBは治療前より良好な結果。著者によればFACT-Pの低下はFACT-Gの低下によるもの。 5)ADT施行の有無では、ADT(+)群でFACT-G,FACT-P,TOIスコアが12か月後でADT(-)群より低下、36か月、60か月時では差は見られず。 6)排尿障害、排便障害に関する遅発性障害については(Table4) 12か月、36か月、60か月後、Grade Ⅰまたはそれ以上の障害を認めたものは それぞれ15%、32%、21%でこれらの障害を認めた群ではFACT-P及びTOIスコアは有意に低かった。 <コメント> 1)この検討によれば、遅発性放射線障害をもっとも反映すると思われるPCSは治療直後には低下するが、その後治療前にほぼ戻るとしています。 残念ながらPCSの設問内容が具体的にどんなものかはわかりませんでした。 何故かこの論文ではPCSの経時的変化の結果は示されていませんでした。 尿路系、直腸の遅発性障害を見た結果では、 2)排便に関わる障害がないケース(Grade0)が1年後99%、3年後92%、5年後95.4%との成績でちょっと安心していいのかなと思ったりしています。ほんとにこんなに成績がいいのでしょうか。 3)ホルモン治療がQOLを下げるというのはやはりそのとおりのようです。ここがちょっと心配です。