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内分泌療法の期間
投稿者:ぽんた 投稿日:2020/08/17(月) 14:59:27 No.67

High-risk Prostate Cancer Treated With Dose-escalated RT: An Analysis of Hormonal Therapy Use and Duration, and Prognostic Implications of PSA Nadir ?0.2 to Select Men for Short-term Hormonal Therapy

Am J Clin Oncol. 2017 Aug;40(4):348-352. doi: 10.1097/COC.0000000000000161.

邦題:高線量放射線治療を施行した高リスク前立腺癌患者における内分泌療法についての検討

<コメント>60歳台、PSA7.0 GS4+4=8 T2a 転移なし
昨年12月からADT,今年6月に重粒子線治療を受けています。ADTによる筋力低下、全身倦怠、手指のこわばり、関節痛など(重篤なものではありません、旅行にも行けています)に悩んでおり、出来ればADTは1年で終了にしたいと思っております。重粒子線後PSAは0.008まで低下しています。ADTの中止は、満更冒険でもないように思い、理論武装に励んでおります。
この論文はレバノンからのものであるのが少々気になりますが、私の選択を基礎づけてくれるものでしたので、投稿させていただきます。

<抄録>
目的:通常高リスク前立腺患者に対して放射線治療を施行する場合には、内分泌療法(男性ホルモン除去療法:ADT)が併用される。ADTは副作用を伴い、ADLを低下させる。したがって可能であれば短期間での終了が望ましい。短いADT期間で良好な予後が期待できる患者群を選択しうる要因について検討した。

方法:1988年から2009年、458人の転移を認めない高リスク前立腺患者を対象。平均照射線量は76.4Gy ADT無し(105人) 短期ADT(12か月以下、194人) 長期ADT(12か月以上 160人)。遠隔転移無生存(freedom from distant metastasis:FFDM)、非前立腺癌死生存(cause-specific survival:CSS)について検討。平均経過観察は71か月

結果:7年FFDMは83%、CSSは91%。多変量解析によれば、nadir PSA(経過中のPSAの最低値)が0.2以下及びGleason score(GS)がFFDM、CSSと統計的有意に関連。ADTを施行した期間は予後と関連無し。PSA nadir <=0.2ng/mlでは良好な転帰。GS9はPSA nadirが0.2以下であっても予後は不良。この群は長期間ADTを行うことでCSSが改善

結論:高リスク群であっても対象を選べば、長期のADTは不要かも知れない。GS9以上ではなく、かつPSA nadir<=0.2を達成できれば、短期間のADTで良好な予後を期待できる可能性がある。

内分泌療法の期間
投稿者:ぽんた 投稿日:2020/08/20(木) 09:06:53 No.68
Duration of Androgen Deprivation Therapy in High-risk Prostate Cancer: A Randomized Phase III Trial

Eur Urol. 2018 Oct;74(4):432-441. doi: 10.1016/j.eururo.2018.06.018.

高リスク前立腺癌患者における内分泌療法(ADT)の期間:無作為割り付け試験(第三相試験)

*重粒子線治療後、ADTを継続しているものですが、なるべく早く内分泌療法をやめていただけるよう論文をいろいろ当たっています。

<抄録>
背景:局所限局性の高リスク前立腺癌に対しては、長期のADTに放射線治療を組み合わせるのが標準的治療であるが、ADTの至適期間については一定のコンセンサスはない。
目的:放射線治療に加えてADTをそれぞれ36か月、18か月施行した2群の治療成績を比較し、ADTの必要期間について検討。
方法:2000年から2008年まで、630例の高リスク局所限局前立腺癌患者を2群に割り付け。骨盤、前立腺照射+36か月のADTを施行する310例(long arm)と同様の放射線照射に18か月のADTを行う320例(short arm)で検討した。
予後判定:全生存(overall survival OS)及び生存の質(quality of life QOL)を指標とした。
結果:平均9.4年の経過観察で、290人が死亡した(long arm 147人、short arm143人)
5年OSはlong arm91% short arm86%で統計的有意差はなかった。QOLではshort armが有意に優った。
結論:局所限局高リスク前立腺癌に対する放射線治療とADTの組み合わせでは、36か月間のADTは18か月のADTに対して有意な上乗せ効果はなかった。症例を選べば、ADTを18か月に短縮し、QOLを落とすことなく同等の成績を得ることが可能と思われた。

<コメント>読んだのは抄録のみで、高リスク群の具体的な内容、放射線治療の内容が不明なこと、かなり以前の治療例であることなどが、マイナスポイントですが、いたずらに長くホルモン治療をするのが必ずしもいいわけではないとする報告と理解。
nadir PSA
投稿者:ぽんた 投稿日:2020/08/20(木) 09:50:19 No.69
Nadir PSA is a strong predictor of treatment outcome in intermediate and high risk localized prostate cancer patients treated by definitive external beam radiotherapy and androgen deprivation
Fady B. Geara, Muhammad Bulbul, Raja B. Khauli, Therese Y. Andraos, Mirna Abboud, Abdelatif Al Mousa, Nasim Sarhan, Ahmed Salem, Hamza Ghatasheh, Anoud Alnsour, Zeina Ayoub, Ibrahim Abu Gheida, Maya Charafeddine, Mohammed Shahait, Ali Shamseddine, Rami Abu Gheida & Jamal Khader
Radiation Oncology volume 12, Article number: 149 (2017)

高リスク、中間リスクの前立腺癌に対するADT,体外照射併用療法
- 強力な予後予測因子としてのnadir PSA -

*連投で申し訳ありません。ホルモン治療を短期で切り上げる口実を探している者です。
レバノンからの論文です。

<対象、方法>
1995年から2015年までの間、NCCN基準で中間リスク、高リスクと診断され、ADT+体外照射を行った375例の局所限局前立腺患者が対象。ADTの平均期間は10か月(3~36か月)、照射線量の平均は72Gy(70~78Gy)、経過観察期間の平均は5.8年(0.8~16.39年)、研究の終了点は生化学的再発(biochemical disease free survival:BFS)

<結果>
1. 42例(12.5%)が経過観察期間中に生化学的再発(biochemical recurrence: BCR)
2.単変量解析では治療前PSA(baseline PSA:bPSA), T-stage, グリソンスコア(GS)、照射線量、PSAの照射前値、経過中のPSA最低値(nadir PSA:nPSA)が、転帰と相関
3.ROC curve(receiver operating characteristic:ROC)では、nPSA値として0.06ng/mlが良好なBCR予測と相関
4.多変量解析ではT-stage, GS, nRSAが独立した要因としてBCRと有意に相関。bPSA,放射線量は有意差なし。

<結論>
nadirPSA 0.06という値が生化学的再発の予測に非常に有用である。

<コメント>放射線治療 with/without ADTについては治療経過中のPSAの変化が予後と相関するという報告はたくさんあり、照射前のPSA.nPSA, PSA値が半減するまでの時間などいろいろ報告があります。いずれにしてもPSAがより速やかに、より強く低下する症例が予後がいいという結論にかわりはないようです。
京大病院の放射線治療+ADT
投稿者:ぽんた 投稿日:2020/08/21(金) 20:59:38 No.70
Long-term Outcomes of Dynamic Conformal Arc Irradiation
Combined with Neoadjuvant Hormonal Therapy in Japanese
Patients with T1c-T2N0M0 Prostate Cancer: Case Series Study
Jpn J Clin Oncol 2014;44(2)180 ? 185

京大放射線科からの論文

直接的には三次元原体照射という現在ではもはや最先端ではない方法の治療成績を示した報告ですが、自分にとって特筆すべきはGS:8であっても、neoadjuvant ADT以外は追加のADTを行わず照射終了で治療を終えていることです。

目的:T1c-T2N0M0の局所限局前立腺癌患者に対するneoadjuvant HT併用3次元原体照射の長期成績の検討。

方法:2003年3月から2007年8月まで、初回治療として3D原体照射を行った150例の日本人T1c-T2N0M0患者を対象とした。対照患者のうち、GS以上は24例/150例、
リスク分類では高リスク群が50例/150例
照射前のホルモン治療は平均6か月、照射線量の平均は74Gy.Salvage hormonal therapyはPSA値が漸増し4ng/mlを越えるまで行わなかったと。

結果:平均79か月の経過観察。Salvage hormonal therapyは10例で施行。施行時の平均PSAは4.7ng/ml。 5年生化学的非再発率、salvage hormonal therapy-free率、生存率はそれぞれ83.3%, 94.3%,96.4%

コメント:高リスク群が150例中50例もあることを勘案すると、まずまずの成績であり、
また生化学的再発をきたしsalvageホルモン療法が必要であった率を見ると、
  低リスク群:0%
  中間リスク群:0.5%
高リスク群:11.2 % であったとしている。すなわち高リスク群であっても放射線治療終了で治療を終えたとしても、5年間のfollowでADTが必要となるのはおおよそ10人に1人だったと理解。

放射線治療後、2年3年と長々とADTを行った検討では、経過観察の開始は通常放射線治療終了時であり、5年程度の観察期間であれば、そのうち2~3年はホルモン治療をしているわけで、これをconcurrent ADTを行わない今回のような検討と直接比較するのはフェアではないのではないかと感じています。高リスク群に対する放射線治療+ADTのランダム化比較試験でADTの期間設定として多いのは、24か月あたりの群と6か月あたりの2群に割り付けるのが多いと思われます。ただどちらの群も、経過観察の開始は放射線治療終了時であり、5年の経過観察では半分近くまだADT継続中ということになり、この比較は妥当なのかなあと思ってしまいます。
京大病院では現在も限局癌では高リスクでもneoadjuvant以外のADTは行っていないのでしょうか。
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