京都大学放射線治療科の相澤 理人氏を筆頭著者とする論文、Significance of androgen-deprivation therapy for intermediate- and high-risk prostate cancer treated with high-dose radiotherapy: A literature reviewをみいだし、少し読みました。
広範な文献検索に基づくレビュー論文であり、現在のわたしは逐一全部読む元気はありません。
ただ、「本稿は、前立腺癌診療ガイドライン(2023年版)に記載されている臨床質問8の解説を修正し詳細化したバージョン」ということで、そのうち気合をいれて読む日がくるかもしれません。
Abstractに高リスクに関してこう書かれています。
regarding HR populations who received high-dose RT, several studies suggested the positive impact of adding ADT for ≥1 year on overall survival
DeepL翻訳
高用量RTを受けたHR集団に関しては、いくつかの研究でADTを1年以上追加することが全生存率にプラスの影響を与えることが示唆された
ただ、INTRODUCTIONの次の記述には少しひっかかりました。
The currently published Japanese phase II study of moderate hypofractionated IMRT (70 Gy in 28 fractions) with image-guided radiotherapy demonstrated excellent disease control among patients with HR PCa only in combination with short-term ADT (4–8 months). 11
DeepL翻訳
現在発表されている画像誘導放射線治療を併用した中等度低分割IMRT(70Gy/28回)の日本第II相試験では、短期ADT(4~8カ月)との併用でのみ、HRPCa患者において優れた病勢コントロールが示された。
この11.の論文は以下のとおり
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38630382/
私の参加した臨床試験であり、これについては、ブログに記事を書いています。
http://inves.seesaa.net/article/500771360.html
以下の臨床試験の説明に書かれているように「高リスク因子(T3a, 20< PSA =<30, G=8,9)の一つのみを有する高リスク前立腺癌」ということでNCCNで定義された高リスクそのものではない。
リスク因子1個に限定したもので、症状の進んだ患者ではないです。
https://center6.umin.ac.jp/cgi-open-bin/ctr/ctr_view.cgi?recptno=R000009201
さらにこの説明書には書かれていませんが、私が臨床試験に参加する際、放射線治療前に必須といわれました。私は中間リスクですが、高リスクも当然そうだったのでしょう。
論文では「放射線治療前8ヵ月以内のホルモン療法療法は許可された」と書かれています。
まひろさんは「トリモダリティでは「6か月と24か月で差がない」という前向き研究が示されていました.」と書かれています。これはTRIP臨床試験であり、ブログでは以下の記事を書いています。
...(続きを読む)
先の投稿での「前立腺癌診療ガイドライン(2023年版)に記載されている臨床質問8の解説を修正し詳細化した」という文を引用しましたが、その質問及び推奨文が分かりましたので以下に紹介します。
CQ08:高リスク前立腺癌に対する高線量放射線療法において、ホルモン療法の併用は推奨されるか?
推奨文:高リスク症例に対してはネオアジュバント(照射前)とアジュバント(照射後)療法の双方を含めた投与期間が7~24か月の併用を弱く推奨する
この7か月というのがどの論文からのはなしなのか確かめてみたい気はしました。
けんぞうさんのブログには2023年版はシステマティックレビューが導入され、2016年版と比べ、クリニカル・クエスチョン(CQ)が70から14へと大幅に減ったということのようです。
けんぞうさんの紹介しているCQのうち、CQ8以外のいくつかを以下に引用します。
CQ07:局所進行性前立腺癌や高リスク前立腺癌の一次治療として、手術療法とホルモン治療併用放射線療法のどちらが推奨されるか?
推奨文:両療法の優劣は明らかではなく、患者の状態や状況、希望等を考慮し選択する
推奨の強さ:推奨なし
CQ10:高リスク前立腺癌に対する放射線療法として、トリモダリティは推奨されるか・
推奨文:高リスク前立腺癌に対する放射線療法として、トリモダリティを弱く推奨する。
前立腺癌診療ガイドラインで「弱く推奨する」と書かれている治療、トリモダリティを強く推奨している人はどのようなエビデンスに基づいているのだろうか。
……以下投稿後に追記
Japanese clinical practice guidelines for prostate cancer 2023をみいだしました。
NPO法人腺友倶楽部 理事長の武内 務氏が共著者として名前を連ねています。
full textには14 clinical questionsについて書かれていますが、詳細に解読する元気はありません。

ありがとうございました.
下記論文一応開いてgoogle翻訳でザット目を通してみましたが,じっくり腰を落ち着けて読まなくてはいけないようです.
元気が出てきたとき頑張ってみます.